福島県の3.11被災地を見てきた③(福島沿岸部の風景)

福島県の沿岸部をまわった旅行記録、の続きです。

4|道の駅 なみえ(浪江町

復興のシンボル「道の駅なみえ」は、まさに浪江町の新しい中心地といった感じ。ポケモンキャラクターの遊具がかわいい公園もあり、これは子どもが喜びそうだなと思いました。

施設内には、無印良品や直売所、広々としたフードコートがありました。福島沿岸部を見て回った際は、平日だったこともありどこの施設も閑散としていましたが、「道の駅なみえ」だけは大勢の人で賑わっていました。近隣住人の買い物やランチスポットにもなっていそうです。

昼食は、浪江町の名物B級グルメ(?)の浪江やきそば。こちらの焼きそばはお土産も購入し、自宅で家族とも食べました買いました。もっちりした太麺が美味しいと、好評でした。

michinoeki-namie.jp

5|浪江町双葉町富岡町の風景

今回の旅行では長らく帰宅困難区域に設定されていた浪江町双葉町富岡町を車で見て回りました。徐々に避難指示が解除されているとはいえ、人はあまり戻っていないようです。どこまでいっても廃墟や放置された田畑と新しい建物のコントラストが続き、現実離れした風景に涙が出そうになりました。

写真はとてもきれいな双葉町の駅。

振りかえると、駅前のロータリーに並ぶ無人の店、店、店。昔は賑わっていたことが分かります。

本来ならばこの時期は一面が水田だったはずなのに、田んぼは雑草に覆われています。

福島沿岸部の主要幹線道路である国道6号線。地方に行くと国道はどこも同じようなチェーン店が道の両側に並びますが、6号線の場合はそれがすべて廃墟でした…。

この景色が、5年後、10年後にどのように変わっていくのか、見続けていきたいと思いました。

福島県の3.11被災地を見てきた②(伝承館、廃炉資料館)

福島県の沿岸部をまわった旅行記録、前回の続きです。

2|東日本大震災原子力災害伝承館

今回の旅行で最初に訪問した施設は「東日本大震災原子力災害伝承館」です。所在地の双葉町は、長らく帰還困難区域であり、こちらの施設も2020年9月に開館したばかりです。

地震津波原発事故の被害を伝える資料を約200点展示しています。震災から復興までの全体像がつかめる展示内容のため、福島県の沿岸部で震災関係の施設を見て回る際は一番初めに見ておくと良さそうです。写真は津波により変形した消防車。


二つ並んだ時計は、それぞれ地震発生時刻と津波到達時刻のまま止まっています。たった1時間足らずで津波から避難しなければならなかった現場の緊迫した状況を端的に表した展示に、胸が締めつけられました。

福島第一原子力発電所の模型です。原発事故については、この後訪問した「東京電力廃炉資料館」でじっくり知ることができましたが、伝承館でも原発事故の概要がある程度分かります。

原発事故の現場で、現状把握のために使われていたホワイトボードがそのままの状態で展示されていたのが印象的でした。

写真は原発事故前、原発事故直後、そして10年後の放射線量を比較した展示です。パネル展示は、視覚的にパッと分かりやすく、小学生にも理解しやすい内容だと感じました。

子どもの外遊びからみた放射線に対する保護者の意識変化や子どもの体力等の変化の統計調査も分かりやすい!

www.fipo.or.jp

3|東京電力廃炉資料館

東京電力廃炉資料館は、東京電力ホールディングスが運営する施設です。福島第一原子力発電所事故の事実と廃炉事業の現状などを広く知ってもらうために2018年にオープンしました。入館料は無料ですが、案内ガイド付きツアー形式のため事前予約が必要です。

1号機から4号機まで、それぞれ何が起こったのか、廃炉事業はどのように進んでいるのかが一望できます。

原子力発電のプロセスや、どのように安全を確保していくのかが分かり、とても勉強になりました。

www.tepco.co.jp

福島県の3.11被災地を見てきた①(震災遺構 請戸小学校)

ちきりんさんのブログで福島県・被災地の旅行記を読み、今年(2024年)の家族旅行は福島県の沿岸部に行こうと考えています。

chikirin.hatenablog.com

ですがその前に、昨年仕事で福島沿岸を訪問する機会がありました。旅行の下調べとして、上記ブログでチェックしていた施設の見学をしてきたため、写真で記録しておきたいと思います。

1|震災遺構 請戸小学校(浪江町

東日本大震災津波で多大なる被害を受けた浪江町請戸地区。その後の原子力発電所の爆発で町民は皆、町外へ避難しました。2023年現在、浪江町立請戸小学校へ向かう道は、見渡すかぎり雑草の生えた田んぼや空地が広がっていました。

「震災遺構 請戸小学校」を訪問してまず感じたことは、津波のすさまじさです。何度もテレビで目にしてきた大津波ですが、実際に被害に遭った建物を目の当たりにすると、本当にとんでもない勢いだったのだと実感します。

中央に倒れている棚は、壁か引きはがされて機能停止した複合盤。ここで各室の時計などを一括管理していたため、構内に残っている時計は15時37分を刻んだまま停止しています。

1階の壁や天井は震災当時のまま。なくなってしまった教室の壁が、大津波の威力を物語っていました。

請戸小学校は、2階床上10cm程度まで津波が浸水したそうです。被害の爪痕を残した1階と比べ、2階は震災前の教室の様子が分かる展示室になっていました。

請戸小学校の児童、教職員は地震発生直後に大平山まで避難したため、難を逃れました。2階展示室では、当時の津波被害の範囲や震災前の請戸地区の模型を見ることができます。

屋外には大きく曲がったプールの手すりなどが展示。

床が抜けた体育館には、卒業式の準備が残されていました。

被災地を実際に見て回ったことで、次は小学生の子どもたちも連れて再訪したいとの思いがさらに強まりました。に続きます。

山形県庄内の旅② アル・ケッチャーノ、スイデンテラス(鶴岡市)

2023年夏は、山形県庄内地方を車でまわりました。訪問した場所や、食べたものを写真で記録します。

アル・ケッチャーノ(レストラン)

ずっと行きたかったレストランです。世界的に有名な奥田シェフの原点となったイタリアンで、庄内平野の田んぼの真ん中にあります。山も海も近いこのレストランでは、食材の掛け合わせと塩だけという素材を生かした料理が楽しめます。

ランチのショートコースは、1時間30分かけて、アミューズカルパッチョ、前菜、パスタ、メインディッシュ、そしてドルチェの6品をいただきました。

このほかに、岩ガキも追加。とても美味しかったです。

スイデンテラス(ホテル・カフェ)

スイデンテラスも田んぼの真ん中にあるホテルです。今回は宿泊せず、レストランのみ訪問しました。

自家製ジンジャエールと、赤ワインのゼリーがのったフルーツカクテルを注文しました。ちょうどチェックイン前で落ち着いた時間だったのか、人もまばらで静かに過ごすことができました。

宿泊者以外も利用できるライブラリーには、約2,000冊の本が並んでいます。子どもの本も多く、つい手にとって眺めてしまいました。本は施設内であれば自由に閲覧できるとのこと。今回は家族連れだったため、じっくり読書とはいきませんでしたが、機会があれば、次回は田園や山なみを眺めながら、ゆっくり読書体験がしたいです。

山形県庄内の旅① 山居倉庫、土門拳記念館(酒田市)

2023年夏は、山形県庄内地方を車でまわりました。訪問した場所や、食べたものを写真で記録します。

山居倉庫

山居倉庫は、明治26年に旧藩主・酒田家によって建てられた米保管倉庫です。2021年3月には国指定史跡となった酒田市の観光名所のひとつです。

山居倉庫といえば、この欅並木(けやきなみき)がフォトスポットとして有名ですが、この欅(けやき)は、日本海からの強風と夏の直射日光をさえぎり、倉庫内の温度変化を少なくする目的で植えられたそうです。現在は41本残っています。

真夏日にもかかわらず、山居倉庫周辺は風がよく通り気持ちの良い場所でした。散歩道をぐるりとまわります。ここは山居町一丁目一番地。

こちらは、最上川舟運において物資の輸送をするためにつくられた小鵜飼船(こうがいぶね)。おもに支流や舟着場間の近距離輸送に使われたとのこと。米の積出港としてにぎわった酒田市の様子が伝わってきます。

土門拳記念館

飯森山公園のなかにある土門拳記念館は、池のそばにひっそり佇み、周囲の自然環境との調和が美しい施設です。

土門拳記念館では、酒田市出身で、20世紀の日本を代表する写真家のひとりである写真家・土門拳の作品を多く所蔵しています。私が訪問したときは、代表作のひとつ「古寺巡礼」と東寺特集が展示されていました。

全5巻からなる写真集「古寺巡礼」のうち、第四集の題字は川端康成が書いたとのこと。

館内には、つい座りたくなる椅子やソファが展示室ごと配置されています。腰を下ろすと時間の流れがゆっくり変わるようでした。正面の庭園は土門拳と親交の深い芸術家のひとりである勅使河原宏氏の作品です。

このように、館内には名だたる芸術家たちが土門拳のために残した彫刻、庭園、銘板などがあり、記念館そのものの芸術性を高めているとのこと。「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」にも格付けされたそうです。

記念館のある飯森山公園には、ぼうけん広場という広々とした公園もありました。春は桜の名所のひとつなのだとか。またぜひ訪れたいです。

「韓国 行き過ぎた資本主義 「無限競争社会」の苦悩」 金 敬哲

韓国映画「パラサイト 半地下の家族」で韓国のコンテンツに興味を持つようになりました。その後、Netflixで韓国ドラマ「梨泰院クラス」「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」にもはまり、これらコンテンツをもっと楽しむために、韓国の現状について知りたいと「韓国 行き過ぎた資本主義 「無限競争社会」の苦悩」を手に取りました。韓国の社会問題である、一握りの勝ち組とその他に分断された「超格差社会」について書かれた書籍です。

 

1948年に建国した大韓民国は「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれるほど、休息な成長を遂げました。西欧が数百年かかった経済発展の過程を、わずか数十年に圧縮して経験したのです。しかしながら、この異常な「圧縮成長」は、大きな副作用ももたらしました。それは、日本の中小企業や地方経済のような「細胞」が育たず、 富が一部に集中してしまったこと。
「成長するのが一番、そのためには手段や方法を選ばない」という風潮が広まり、韓国人をゆがんだ競争主義に追い込んだと、作者は説明します。

「韓国 行き過ぎた資本主義 「無限競争社会」の苦悩」の章立てはこちらです。

第一章 過酷な受験競争と大峙洞キッズ
第二章 厳しさを増す若者就職事情
第三章 職場でも家庭でも崖っぷちの中年世代
第四章 いくつになっても引退できない老人たち
第五章 分断を深める韓国社会

 

韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」の第9話では、「子どもは遊ばないと!」と塾のバスをハイジャックして子どもたちを誘拐し遊びに連れ出した青年が登場します。裁判で被告人となった青年は、毎日遅くまで勉強させられている子どもたちを解放したかったと主張します。
このエピソードに出てくる小学生たちの苛烈な塾通いが決して誇張ではなかったのだと、第1章の「過酷な受験競争と大峙洞キッズ」を読んで知りました。

学歴こそが競争社会を生き抜く力となる韓国社会では親たちは全てをかけて子供の教育に邁進します。 当然ながら教育費はうなぎのぼりで、世界一低い出生率へとつながっているとのこと。韓国の、2021年の韓国の合計特殊出生率は0.81です。

2021年の合計特殊出生率は0.81、少子化問題さらに深刻に(韓国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ

 

この書籍から、次のようなことも知ることができました。「出生率」に最も大きな影響を及ぼしているのは若年層の未婚率の増加ですが、韓国統計庁の「2015年の人口住宅総調査」によると、20代の未婚率は91.3%、30代でも36.5%です。また、2025年には、30代の未婚率が50%を超えるとの予想も発表されています。
結婚や出産が遅れる理由が経済的な問題であることが、大学卒業生の就職率は66.2%(「2017年の高等教育機関卒業者の就職統計」)とかなり低いことからも容易に想像がつきます。

 

最後に、この本は次のように締めくくられています。

行き過ぎた資本主義と、そこからの揺り戻し。政治に翻弄され続ける韓国社会は、今や、難破船のように針路を見失っている。
そして、最後に、もし政権が道を誤れば、これは世界中のどの国でも起こりうる、ということを覚えてほしい。新自由主義に向かってひた走る、日本の近未来の姿かもしれないのだ。
(p208)

韓国 行き過ぎた資本主義 「無限競争社会」の苦悩」は隣国が直面している様々な問題について、理解を助けてくれる書籍でした。韓国の課題は決して対岸の火事ではないと感じました。これからも、韓国コンテンツに触れながら、韓国社会の今を確認していきたいです。

エネルギー管理士試験(2022年)の振りかえり

2022年にエネルギー管理士(熱)を受験しました。無事、一発合格できましたので、受験体験談をブログに書きたいと思います。「エネルギー管理士試験」の詳細はこちらをどうぞ。

ECCJ 省エネルギーセンター / 令和4年度エネルギー管理士試験 / 目次

① 資格試験挑戦への動機づけ

時間を捻出し、資格試験に望むには強い動機(インセンティブ)が必要です。パッと思いつくのは「資格が昇格や転職に役立つ」ですが、私の場合はそのどちらもありません。そこで、「エネルギー管理士」の資格試験にチャレンジするにあたり、自分のなかで受験の「動機」をハッキリさせてから学習をスタートしました。こちらの2つです。

  • 会社からの一時金
  • 知識の強化

私の会社では「エネルギー管理士」に合格すると数万円の一時金がもらえます。正直言うと、勉強に費やす時間を考えたら副業のほうがよっぽど効率よいのですが、「お金もらえるなら受けようかな」とささやかでも動機になりました。

けれども、勉強を続けられた最大の理由はこちらが大きい。「エネルギー管理士」の試験勉強を通して、知識が強化できると感じたことです。半ば強制的に勉強するうち、これまでふんわり理解していたことが、徐々に人に教えられる程度には分かってきました。

学習の途中で、「たとえ試験に落ちても、資格試験に取り組んだことは自分のキャリアの強みになる」と頭を切り替えられたことが、一番の動機になったと思います。

② 勉強前の理解度

私は化学工学を専攻し、就職後も化学系エンジニアとして10年以上働いています。「エネルギー管理士」が網羅する分野は「まったく分からない」ではないけれど、数学や物理の基礎はほぼ忘れている状態。熱分野の4課目のうち、パラパラ過去問をめくった段階での感想は、

  • 課目Ⅰ エネルギー総合管理及び法規→ひたすら暗記?
  • 課目Ⅱ 熱と流体の流れの基礎→仕事で扱ってる分野だけど、勉強必須
  • 課目Ⅲ 燃料と燃焼→計算は学生時代やったような(忘れている)
  • 課目Ⅳ 熱利用設備及びその管理→仕事扱っている分野だけど、思ったより初見の専門用語も多い?
③ 勉強の方針

勉強計画は、合格者の体験談ブログを読み、次の通りとしました。

  • 勉強時間は「150時間」
  • 勉強方法は「10年分の過去問をひたすら解く」

試験日の7月末から逆算し、勉強は4月半ばからスタート。4月は準備期間と位置づけ、問題集をざっと読み、勉強範囲の優先順位をつけます。
本格的に試験勉強に取り組んだのは5~7月の3ヶ月間。1カ月あたり50時間を目標にします。

余談ですが、わが家は共働きで保育園児を子育て中なので、時間の捻出には苦労しました。夫婦交代で家事育児をし、平日に1時間(20時間/月)と休日に3時間(30時間/月)を何とか勉強に充てました。

試験対策で使った問題集は『2021年版 エネルギー管理士 熱分野過去問題集』(オーム社)です。過去問は初めから順番にするのではなく、理解に時間がかかる課目を初めに、暗記の課目は試験直前に勉強しました。私の学習スケジュール(実績)は次の通りです。

  1. 課目Ⅱ 熱と流体の流れの基礎(1カ月)
  2. 課目Ⅳ 熱利用設備及びその管理(2週間)
  3. 課目Ⅰエネルギー総合管理及び法規(2週間)
  4. 課目Ⅲ 燃料と燃焼(2週間)
  5. 過去問通し×5回分(2週間)
④ 勉強のコツ

とくに課目Ⅱで感じたのですが、解説を読んでも解き方が理解できないという問題がいくつかありました。粘り強く時間をかければ分かるかもしれませんが、資格試験勉強は時間が勝負。所詮、6割取れれば合格できるので、どうしても分からない問題は「この問題がでたら諦めよう」と潔く捨てました。

もし時間が取れるようであれば、過去問に取り掛かる前に「高校数学」を1カ月程度復習することをおススメします。